UXチームのシニアマネージャーとして、社内教育を実施しました。目標はユーザー中心のデザイン思考の普及、そして社内のUXに対する認識の底上げでした。
ローソンチケットの集客ページである「興業まとめ」ページのUX改善を実施するためのプロジェクトに取り組みました。目標は、ユーザーの購入までのフローをより正確に追跡し、「興業まとめ」ページに必要な要素、適切なUIをユーザーに提供することでした。
私の役割はユーザーシナリオを検討し、どのような状況でもユーザーが必要としているソリューションを考案することでした。
UX(利用者経験)という言葉は知らない人がいないほど世の中に普及しましたが、社内のUXチームは一体何を担当するチームなのか疑問を持っている人も少なくないのが一般的な企業の現実だと思います。
ローソンエンタテインメントの場合も、本格的なUX改善を担当するチームが作られて1年程度で比較的に歴史が浅く、社内の認識を変えて行くための継続的な努力が必要な状況でした。
私はUXチームのマネージャーとしてこのような状況を改善するため次の3つの目標を立てました。
・他部署と強い関係性を持つ
・UX改善の意味を自己発信する
・誰もが自由にUXについて話せる環境を作る
そして、この目標が達成できる方法を考えた時に、最初に浮かんできたのが『デザイン思考』の教育でした。
『デザイン思考』は単純に見た目のデザインを綺麗にする方法ではなく、ユーザー中心の創造的な問題解決を意味すると思います。
『デザイン思考』は単純に見た目のデザインを綺麗にする方法ではなく、ユーザー中心の創造的な問題解決を意味すると思います。
“Design thinking is a process for creative problem solving”
David Kelley - Founder of IDEO & the Stanford d.school
そして、あらゆる問題について合理的なアプローチを重要視する『デザイン思考』はどのような業務にも活用できると考えました。勉強会には、マーケティングや営業など他部門の参加者も多数いましたので、UXの理解度を上げる第一ステップとして『デザイン思考』は非常に汎用性のある有効な方法だと判断しました。
勉強会の実施が決まった後には勉強会の内容・構成を決めておく必要がありました。様々なバックグラウンド・スキルセットを持っているメンバー達に興味を持っていただく必要がありましたので、UXデザイナーやプロダクトマネージャー向けの専門的な話よりは、基礎的な概念について十分に理解が出来る内容で構成することを目指しました。
教育用の資料はGoogleやStanford d.schoolが公開しているのデザイン思考のレクチャー用のドキュメントを参考に、デザイン思考が登場するようになった背景・Quiz・UXトリビア・体験型のタスクを加味して作成しました。
勉強会の実施が決まった後には勉強会の内容・構成を決めておく必要がありました。様々なバックグラウンド・スキルセットを持っているメンバー達に興味を持っていただく必要がありましたので、UXデザイナーやプロダクトマネージャー向けの専門的な話よりは、基礎的な概念について十分に理解が出来る内容で構成することを目指しました。
教育用の資料はGoogleやStanford d.schoolが公開しているのデザイン思考のレクチャー用のドキュメントを参考に、デザイン思考が登場するようになった背景・Quiz・UXトリビア・体験型のタスクを加味して作成しました。
HCDの歴史
UXのトリビア
参加型タスク
UX方法論の紹介
勉強会自体は、予定通り実施が出来て、参加者全員が熱意を持って参加してくれましたが、想定外のところで問題が発生しました。勉強会の中には、ある問題に対する解決策のアイデアを全員が出して、チームで議論する部分がありましたが、次のような課題が見つかりました。
勉強会自体は、予定通り実施が出来て、参加者全員が熱意を持って参加してくれましたが、想定外のところで問題が発生しました。勉強会の中には、ある問題に対する解決策のアイデアを全員が出して、チームで議論する部分がありましたが、次のような課題が見つかりました。
・暗黙的な上下関係が発生して、自由に発言出来ない。
“俺はね、やはりこれしかないと思うんだ。”
・論理的な根拠ではなく、感でアイデアを出す。
“この業界に10年いたから、なんとなくの感なんだけど。”
・断定的な結論を出したがる。
“それは絶対ない。”
UXの議論は、自由でフラットな環境の中で行う必要がありますので、UXの知識以前にマインドセットの改善も必要だと認識できる機会になりました。
対策としては、次のルールを説明して都度注意をする方法でマインドセットの改善を図りました。
・相手の意見を否定しない『Yes, and』
・必ず根拠を用いる
・全ての可能性を話してみる
もちろん、簡単にマインドセットを変えることは出来ませんでしたが、素晴らしいアイデアは自由な発想ができる環境の中で生まれることを根気よく説明して納得していただくことが出来ました。その結果、勉強会が終わる頃にはこのような問題で注意をすることも少なくなり、より効率的に勉強会や議論を進められるようになりました。
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